SECHS1長篇小説第29話『ハッピーバースデー』。
涼は放課後、すぐに書店へと向かった。ケーキの作り方を知るためだった。昨日の夜はスマホで色々とレシピを調べ、寝不足になっていた。そもそもの始まりは親友の言葉からだった。 昨日の夜。SECHS(ゼックス)ハウスのダイニング… 続きを読む »
涼は放課後、すぐに書店へと向かった。ケーキの作り方を知るためだった。昨日の夜はスマホで色々とレシピを調べ、寝不足になっていた。そもそもの始まりは親友の言葉からだった。 昨日の夜。SECHS(ゼックス)ハウスのダイニング… 続きを読む »
満天の星空の下。オリビアとテオルはSECHS(ゼックス)ハウスに帰るべく、バイクによく似た浮遊する代物、アンダートーチを走らせていた。ふいにテオルは尋ねた。 「マスター。あの子を見てどう思いましたか?」 「ピタの事か?… 続きを読む »
「ご馳走様でした」 「うむうむ」 竜の子供ピタはお腹いっぱいになったようで、トリス村長も満足げだった。 「ありがとうトリス村長。みんな」 「美味しかったです」 「いい男がそう言ってくれるんならこっちも作り甲斐があるって… 続きを読む »
オリビアはテオルと共に、竜の少年ピタを連れてトリス村長と村人たちが待つティティの村へと戻って来た。ピタはオリビアの後ろにくっついている。恐々とした面持ちで、これから勇気を出さねばならない。 「おお!戻られたか!」 トリ… 続きを読む »
ティティの村はSECHS(ゼックス)ハウスのそばにあるサイフォンの街からそう遠くはない。カルテアの星の乗り物、バイクによく似た魔力で浮遊する代物―オリビアはアンダートーチと名付けたーそれに乗れば1時間も掛からないうちに着… 続きを読む »
サイフォンの街の近くをのんびりと移動する紅とレッチェ。紅はふんふんと鼻歌交じりで、嬉しそうに腕を振っている。黒い靴が地面をトントンっと鳴らし、足音からでも機嫌がいいのが分かるようだった。一方のレッチェは足音すら立てずに… 続きを読む »
赤い炎が辺り一面を、カルテアの星を焼き尽くしている。その炎の合間を縫って、一人の少年が走っていた。轟轟と音を立てて崩れる建物。人の悲鳴はもうしない。少年の脚はその中心地へと向かっている。金の髪が火に照らされ、燃えるよう… 続きを読む »
4月。春うららかな季節。桜が舞い新学期を迎える人々は、これからの新しい出来事を想像してわくわくしている。戸惑いもあるだろうが、期待を胸にして、新たに向かっていくのだ。そんな季節。1人の男の子。さらさらの黒髪を綺麗に梳か… 続きを読む »
「ねえ、ディレー。私を見て。私の事を」 「ヴァレッタ…」 「ディレー。私の事をよく見て」 「ヴァレッタ…」 椅子に座ったままのディレーをヴァレッタがしなだれかかっている。傍から見れば愛し合う2人の様だが。 「うえ」 「… 続きを読む »
ディレーの屋敷の客間にて、オリビアは紅とレディア、そしてテオルにティレイサとディレーの事を話した。 「なるほどー」 「じゃあディレーさんは、その時ティレイサに一目惚れしていたという事ね」 「どこかの誰かと同じなわけです… 続きを読む »