ギルドSECHSの5人とティレイサは、ディレーの屋敷の客間へと通されていた。調度品は美しく、なかなかいい趣味をしている。ティレイサは、3人がけの椅子に腰かけていた。隣にはレディアが。他の3人がけの椅子にオリビアとテオル。もう1つの椅子に紅。扉の近くの壁に背をもたれかけさせ、レッチェがいる。ティレイサは、すこしソワソワして視線を部屋中へと巡らせた。
「大丈夫?」
レディアが心配して声をかけた。
「はい……少し緊張しています」
ティレイサはそのままを答えた。
「ディレーさん…どんな方なのかな…」
「そうね…」
「ディレー氏は、この辺りの商売を取り仕切っている。中々のやり手だそうだ。」
オリビアは続けた。
「姫のことも、あながち知らないわけではないようだ」
「!」
ティレイサははっとした。
「それは…本当ですか?」
「ちょっと、それは初耳よ」
レディアが問う。
「姫、その瞳で見て来るといい」
オリビアはレディアをなだめつつ、ティレイサに扉の方へと促した。つられてティレイサは扉へと目を向ける。その時、丁度、屋敷の者がやってきた。執事のようだ。
「お待たせいたしました。ティレイサ姫、どうぞこちらへ」
ティレイサは、少なからず動揺している。だが、
「わかりました」
席を立った。
「お連れの方はここでお待ち下さい」
執事はそう言い放つ。
「ティレイサだけってことはないだろ?俺も行くよ」
「レッチェ」
「いえ、こちらで…」
「なあ、そんな事言って、ティレイサを怪しげな男の所に連れて行って、悪いことしようとしてるんじゃないの?」
「まさか!ディレー様はそのようなお方ではありません!」
「そうかな?こんな所で、屋敷の者達と男”1人“で暮らしてるっていうんだろ?怪しいなあ」
「ホントホント!怪しいなー」
紅も続いた。
「それにティレイサ姫をお付きの者もなしで行かせるわけにはいかないわね」
レディアも続く。
「わ、わかりました。でしたら1人、お付きの者もご同行ください。」
レッチェと紅、レディアは目を見合わせた。テオルはニコニコと笑っている。オリビアは動く気配も無い。目配せの結果。
「俺が行くよ」
レッチェが名乗り出る。
「ではこちらへ。」
ティレイサは頷いた。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい、ティレイサ姫。」
「姫に何かしたらボクが承知しないよ!」
姫は執事の後をついて客間の外へでた。そのすぐ後をレッチェが同行する。客間に残ったSECHSのメンバーは静かにその場で待つことにした。オリビアはそっと目を閉じた。